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1行記録術で本当に役に立つPDCAを。金田博之著「初速思考」より

やり直し作業にばっかり時間がかかる。
計画はしっかり立てるのだが、計画を立てるのに時間をかけすぎて仕事が遅い。
同じミスを繰り替えし、そのたびに前はどうっだったか、どうしようかと悩み、迷い、仕事が進まない…。

そんな方はいないでしょうか。
今回は、金田博之さんの著書「初速思考」から、「1行記録術」により日々の経験を蓄積し、仕事のスピードを上げる方法を解説します。

本の中には具体例や個人・チームが結果を出すための90日プランなども解説されているので、興味を持った方はぜひ原書を手に取ってください。

 

初速思考とPDCA

初速思考とは

本書の中では「初速思考」とは、「目に見える結果をすぐに出して成功事例を作り、成功要因を分析して、一気に展開する方法」とされています。
皆さんの周りにも、20代の頃はよかったけど30代になってから伸び悩んでいる、とか、逆に30代になってから伸びた、一皮むけた、という人がいるかもしれません。著者が国内外の経営幹部の人から聞いた話によると、その違いは「初速の速さ」にあるらしいです。ただただ行動するでもなく、考えることに時間をかけすぎるのでもなく、走りながら考えれる人。それにより、目に見える結果を速く出せる人が成長するとのことです。

PCDAは無駄か

社会人ならPDCAサイクルを回しましょうという話をされたことのある人がほとんどだと思いますが、どのようなイメージでしょうか。ただただ手間ばかりかかって役に立たない、形骸化しているだけの自己満足、と思う方も多いと思います。

私も会社とかにやらされる、形だけのPDCAはクソの役にも立たないと思っていますが、自分の中で行う分には成長のための必須事項と思っています

「PDCA」という仰々しいですが、行動する、そこから何か気付きを得る、気付きを次のTODOに繋げる、結果をフィードバックする、というサイクルを回さないことには、成長というものは得られません。スポーツや部活などでも、漫然と反復練習を繰り返す人よりも、さっきはこういう結果だったから少し修正してみよう、と考えながら練習する人の方が成長は速いですよね。

ただ、「PDCA」というと、多くの人が「P」にばかり注力してしまいがちです。で、結果何もしないで時間だけが経ってしまった、ということや、P,Dを繰り返すだけで次につながらない、ということになりがちです。
本書では、「PDCA」のうち「C」に注力します。振り返りを重視することで次の行動につながり、自然とPDCAサイクルが回るようになります。「PDCA」というより、「CAPD」という意識を持つことで、普段の何気ない経験も無駄にすることなく次の行動に繋げることができます。

そして、このサイクルを高速で回すために、すぐに振り返って次の行動に生かす、ということが重要になります。そこで重要になるのが、「1行記録術」です。

1行記録術による、お手軽な振り返り&経験の蓄積方法

初速思考の要となるのが、1行記録術。これにより経験と時間を無駄にせず蓄積し、自分のアクションリストにすることで、やり直しなどにかかる「最低速度」と、成功要因を分析して次につなげる「最高速度」の両方を上げることができます。

記録の有用性

成功でも失敗でも、経験を次の行動に繋げるには言語化して記録する、ということが超重要になります。わざわざそんなことしなくても頭の中に残っている、と思うかもしれませんが、曖昧な記憶に頼るよりも具体的な記録に頼った方が確実な成果が期待できます。また、記憶だけに頼ろうとすると、どうだったけ?どうしようか?と毎回悩んだり迷ったりすることになります。この悩み、迷いが集中力の大敵!明確な言語化された記録を参照することで、この悩みや迷いを防ぐことができ、根拠と自信を持って仕事に取り組むことができます。

そういうと気合を入れすぎてノート1ページ分も記録を取りたくなってしまうかもしれませんが、それはそれで困りもの。詳細に記せるかもしれませんが、あまりにも時間がかかりすぎるのと、大変すぎて継続できません。

そこで役に立つのが、この1行記録術。具体的な方法は次項で解説しますが、1行記録術には、以下のようなメリットがあります。

1行記録術のメリット

・時間がかかりすぎない

・はりきりすぎて、三日坊主にならない

・要点を押さえるトレーニングになる

1行記録術とは

その名の通り、小さな成功や気付きを1行で記録していきます。
記録する対象はどのようなことでも良いのですが、以下のようなポイントに注目するとより良いです。

①スキルアップや仕事に関すること
例)概略設計の段階でAさんにレビューしてもらったおかけで早い段階で修正点を見つけることができた、試験規格をどうするか悩んでいたがとりあえずJISを見れば何とかなった、など

②メンタル、マインド、モチベーションに関すること
例)仕事でイライラしていたが駅まで走って帰れば少し気が晴れた、飲み会での雑談中のBさんの「〇〇〇」と言う言葉は参考になった、など

③自分の目標や将来像に関すること
C部長の説明の仕方は概要が理解しやすく分かりやすい、Dさんはその場で適当なことを言ってるだけで自分がやるといったこともすぐに忘れて何もしない。あんなリーダーにはなりたくない。、など

記録の加工

記録はしたらしっぱなしではなく。加工して深堀りしていきます。

例えば、メモした内容について原因を深堀りする場合は←をつけて追記、メモした事実から次のTODOに繋げる場合は→、というようにして、内容を補強していきます。

人の記憶は2週間のうちに3度アウトプットや復習をすることで定着するので、1行記録はノートに走り書きしておき、定期的にノートを見返すようにしてその時に補強するのがやりやすいと思います。ちなみに私は、あとから見返しやすいようにノートに緑のボールペンで年月日とともに記録をつけるようにしています。1行記録術専用のノートを作る、というのは気付いたときにメモしにくいし、かえって見返しづらくなるのであまりお勧めしません。

そして、ある程度経験が蓄積されたら、こういう時はこうする、という自分だけのアクションリストを作成します。自分の経験をもとに自分用の作業マニュアルを作る、という感覚に近いと思います。実際には単純な作業手順だけでなく、意思決定の際はどうする、メンタル的に安定しなかったり怒りをコントロールできないときはこうする、など、活用範囲は自在です。

なお、アクションリストは経験を積み重ねる毎に更新していくものなので、どちらかというと手書きノートよりはExcelやEvernoteなど、デジタルなもので管理する方が更新しやすいです。
この辺りは個人の好みにもよると思うので、自分に合った記録、加工の仕方を試してみるのがよいと思います。

まとめ

キーポイントになるのは、行動する際に悩まなくてよい仕組みを作ることです。

人が1日に使える集中力は限られています。そして、悩むたびに集中力を奪われます。
経験を言語化して蓄積することで、確かな根拠が得られます。
根拠があるから、自身を持って、迷わず悩まず行動することができます。

経験を言語化する際に、1行記録術はその手軽さ、継続のしやすさから、有用な武器になります。

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