投資

損切りができない人に贈る、 損切りルールと考え方

保有銘柄の株価が日に日に下がっていく。これならいける、と思って買った銘柄だけに、なかなか売れない。きっと上がると信じ込んだままズルズルと損失が大きくなってしまい、最後は投げやりになってしまう。

また、損切りした途端に株価が上昇。損切りしなけりゃよかった!くそうと思って買いなおすと、また下がる…

こんな経験はないでしょうか。

プロスペクト理論などでも説明されるように、人間の脳というのははそもそも損切りするのが苦手なようにできています。なので、損切りに関する悩みというのはなかなかなくならないんですよね。

今回は、主に「オニールの成長株発掘法」から、絶対に損切りしなくてはいけないタイミングと、損切りに失敗したと思った時の気持ちの持ち方について参考になった箇所を紹介します。

ポイントは以下の3点です。

ポイント

  • 損失を最小に抑えれれば、10戦3、4勝で十分。
  • 10%近く下がるのは、買いの判断ミス。負けを認め、冷静なうちに撤退。
  • 損切りは保険。

ちなみにこのオニール本ですが、「CAN-SLIM」という明確な銘柄選定基準と、過去125年分に及ぶチャート分析による買い時、売り時の解説をしている本で、Youtubeで株の買い時さんが絶賛していて買ってみた本になります。(けっこう高いのと)少し難解なところもあるのですが、理解すれば必ず力になる本ですので中級者以上の方にはすごくオススメです。株を始めたての人は他の入門書で基本的な用語などを勉強したうえで読むことをオススメします。

損切りラインと考え方

そもそも含み損を抱えなかければ損切りなんて考えなくても良いのですが、まぁそんな夢のような相場はありませんよね。
まずは、そもそもなんで損切りしなけりゃいけないのか、という話から始めたいと思います。

常に間違えないのは、どんなプロでも無理

株で儲けようと思うと勝ち続けなくてはいけないような気になりますが、いかに優秀な人でも常に上昇銘柄を選べているわけではありません。イチローといえど4割ヒットを打つことは相当困難なように、株の世界でも10回中4回正しい判断が下せていたらすごく優秀
それよりも大事なのは、間違えたときにできるだけ損失を抑えること

投資の神様、ウォーレン・バフェット様の名言にも以下のような言葉があります。

ルール1:絶対に損をしないこと
ルール2:絶対にルール1を忘れないこと

ルールひとつやんみたいな気もしますが、それほど損をしないということが重要であるということです。

損失を抑えるため、最後の一線を割らせない絶対的守護神、守備の奥義が「損切り」になります。

正しいポイントで買えば、そんなに下がることはない

買い方、銘柄選定の基準にもよると思いますが、オニール本によると正しい買いポイントで変えたなら7~8%も株価が下がることはない、ということが言われています。オニール流では、この買い値から7~8%が絶対遵守の損切りライン例外は無しである!
今は含み損だけどこの後上がれば問題ない、と考えるのではなく、それだけ下がったということは買いの判断を間違えていた、または状況が変わったんだということを認識して、素早く手を打たなければなりません
具体的な損切りラインを何%にするかは銘柄を選んだ動機、長期なのか短期なのか、変動率が大きいのか小さいのかなどによって変わって然るべきものとは思いますが、いずれにしても10%も下がるのは何かしら問題があったととらえるべきです

ちなみに、株で20%資産を減らしたとすると、それを取り戻すためには25%資産を上昇させなければなりません。
(100万から80万に減ったとき、また100万に戻すには20%じゃだめだよねという話)
同じように、33%損したら、取り戻すには50%、50%損したら倍にしなくてはならない!
損失は放っておけばおくほど、単にお金が減るだけではなく取り戻すまでに時間がかかるようになってしまいます。

また、10%を超えるような含み損を抱えると、人間は感情的になって冷静な判断ができなくなってしまいます
(根拠もないのに必ず上がる!とか思っちゃいますよね…)
いうなればハンデを抱えているような状態で、普段なら回避できるような損失も喰らってしまいがちです。そうならないよう、小さいうちにさっさと刈り取ってしまいましょう。

勝ちシナリオと負けシナリオ

損切りに対してももう一つの考え方としては、「買った理由がなくなったら売る」というものがあります。

例えば、売上高成長率が20%で推移すると思って買ったのだったら、成長に陰りが見えたら売らなくてはならない。
クラウド事業が伸びると思って買ったのだったら、そのセグメントが成長していかないのなら売らなくてはならない。

特にファンダメンタル的に惹かれて買った場合、何かしらの「勝ちシナリオ」を想定しているはずなので、それが崩れたら売る、という、そりゃそうだよねという考え方です。

しかし、人間は損切りが苦手なもの。買うときは超冷静で明確なシナリオを持っていても、「別のセグメントは成長しているから」とか「利益率はそれなりを維持しているから」と、別の理由を探して損切りをためらってしまいがちです。こうなってしまうと、塩漬けになって含み損がドンドン膨らんでいくルートに直行です。

どうしても売らなくてはならないとき、人間は冷静ではいられないもの。これを防ぐために、冷静である買うときに「負けシナリオ」も考えておくことで、比較的感情的にならずに対処することができます。

ただし、1点注意しなくてはならないのは、シナリオが崩れたときには既にかなり下がっている危険性があるということです。
株を買うときは、売上や利益率やROEなど、ファンダメンタル指標は非常に重要になるのですが、たいてい株価は企業がまだ成長を続けている段階で天井をつけるもので、売るときにはファンダメンタル指標はあまり当てにならなかったりします

シナリオで考えるときも絶対遵守の損切りラインは設定しておいた方が、被害を小さくできる可能性が高まります。

損切りに失敗したと思ったとき

損切りした直後に株価が上がる。ちょー悔しい!
大抵それで買いなおすと、また下がる、というのは株あるあるだと思いますが、あれはなんでなんでしょうか。悪い意味で株式市場が自分中心に回っているのではないかと思っちゃいますよね。
しかし、売った後に値上がりするのは、損切りにおいては間違いではない!と考えるようにしています。

最悪のパターンを考えてみる

個人投資家の株取引にとって最悪の状況とはどういったものか考えてみましょう。専業なのか、兼業なのか。お小遣い程度に稼ぐのが目的なのか、株で生きていきたいのか。その人その人によって程度は異なると思いますが、おおむね下記のようなことになると思います。

最悪のパターン

  • 借金を抱える
  • 元に戻すのが困難なほど資産が減る
  • 次に勝負をするための種銭を失う

ちなみに日本トップクラスの個人投資家である片山晃さんはリーマンショックの頃に勝てなくて、株が続けられなくなるのが辛くて泣いたことがあるらしいです。お金が減るとか生活レベルが下がるとかじゃなくて、大好きな株ができなくなることが辛くて泣くって、やっぱトップの人はいろんな意味ですげぇっすね…。

これらの最悪の状況を避けるために行うのが、損切り。損切りしたとたんに株価が上がることもあるが、もしかしたら最悪の状態に真っ逆さまになっていたかもしれない。
最悪の状態を避けるための守備なのだから、最悪の状態にならなければ成功!つまりそのあと株価が上がろうが下がろうが、最悪の状態を回避できたのならば損切りは成功なのである。次の銘柄を買って挑戦するのに十分なだけの資金を手元に残せているならOK!

損切りは保険

最悪の状態を回避できたのだからOK、という話をもう少し身近な例で例えると、損切りというのは保険に似ているものと言えます
自動車保険や火災保険など、誰しもなにかしらの保険に入っていると思いますが、例えば1年間無事故だった場合、保険に入って損した!とは思いませんよね。
万一事故をした、家が火事になった、地震で家が倒壊した、など最悪な状況になってしまった時に、きちんと補償したり被害を最小にするために保険に入っているはずです。
損切りも同じようなもの。損失が出るのは悔しいし、もったいなかったと思うかもしれませんが、損失が膨らむ前に損切りできていれば、3回に1回ほど当たり銘柄を掴めていれば十分元は取れるはずです。損切りしたことによってつかみ損ねる利益もありますが、どんな銘柄がいつ下落してもおかしくない。そして、どこまで下落するかなんて、誰にも予測ができないことです。

損切りにおける失敗とは、切ったあとに株価が上がって利益を掴み損ねることではなく、自分のルールを守れず切らなくてはいけないラインで切れずに損失を膨らませてしまうこと。
つかみ損ねた利益は保険料と考え、無事次の勝負に挑戦するのに十分な資金は残せたのだから、自信を持って前向きに次の勝負へと向かえばよいだけの話です

まとめ

損失を最小に抑えることができれば、10戦3勝でも株式市場では十分に戦うことができる。損失を最小に抑えるための守備の奥義が、損切り。

正しいポイントで買うことができていれば、10%も株価が下がることはそんなに無い。一定ラインを越えて下がるときは、買いの判断に間違いがあったと認めて冷静でいられるうちに摘み取る。

損切りすることによってつかみ損ねる利益もあるが、それは保険料と思おう。最悪の状況を避けることができたのだから、正しく損切りができたと自信を持って次の勝負に挑めばよい。

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