勉強

仕事を効率化して残業を減らしたいなら、まずはこれからーシングルタスク一点集中術(デボラ・ザック)を解説

  • 毎日忙しく働いているはずなのに、全然仕事が進まない。
  • あれもこれもやらなくてはならず、結局残業でなんとかするしかない。
  • 毎日クタクタで、他の事をする余裕なんてない。

そんな方はいないでしょうか。

あまり面白い答えではないですが、日々の仕事をこなしたいのなら、「いまここ」に完全に集中するしかない。しかし、周囲には誘惑がたくさん。スマホの通知、メールや電話、人から話しかけられたり、今関係のない悩みや考え事にとらわれてしまうなど、意外と1つのことに完全に集中する、ということは難しいものです。

本書では、自分の頭の中(雑念、迷い)、外部(デバイス、人)の両面について、注意散漫になる原因を遠ざけ1点集中する方法が解説されています。
本記事では、そのうち自分の頭の中にある注意散漫になる原因を遠ざけるための方法を解説します。

この本で得られること

  • 忙しく働いたはずなのに何も進んでいない…という日が少なくなる
  • 自分の集中力を1度に1つのことだけに投下することで仕事の質・効率が上がる
  • 八方美人ではなく真に質の高い仕事を提供することで、周囲からの信頼を勝ち取ることができる

YouTubeに解説動画もUPしていますので、こちらもご覧ください。

 

 

シングルタスクv.s.マルチタスク

シングルタスクの対義語として、マルチタスクを思い浮かべる方は多いと思います。まずは、それぞれどのようなものなのかを確認し、なぜシングルタスクを推奨するか確認します。

シングルタスクとは

主にコンピュータ関連の用語で、「一度にひとつのタスクのみ実行できる方式」になります。
本書の中では人間に対して使った場合、

  • 今、目の前のことに集中する
  • 一番大事なことを決め、責任をもってやり遂げる
  • 一度に一つの作業に集中して、生産性を上げる

こととしています。
これにより、「時間」を有効活用し、「生産性」を上げ、「対人関係」を改善する、というのが本書の趣旨になります。
シングルタスクの極値が、いわゆる「ゾーン」に入った状態(スポーツ選手とかが良く使いますよね)と言えます。

マルチタスクとは

シングルタスクとは逆に「複数の作業を同時にもしくは短期間に並行して切り替えながら実行すること」となります。コンピュータの場合は一瞬で完璧に情報を記憶して作業を切り替えたり、マルチコアみたいな感じでそもそも脳みそを2つ以上積んでいる場合もあるので、マルチタスクにより処理時間を短縮化することができるらしいです。

人間でも、マルチタスクと言い張って複数の作業を同時に行って効率をあげよう、という人がいます。あなたの会社にも、会議中にメールをずっと見ている、という方はいるのではないでしょうか。他にも、テレビを見ながら勉強したり、人の話を聞きながらスマホをいじる、などもマルチタスクと言えると思います。

マルチタスクよりもシングルタスクを推奨する理由

マルチタスクをしようとする人は、しなければならないことが多すぎて一度に1つだけ集中するなんてできない、複数のことを同時にこなさないととても時間が足りない、と言いますが、果たして本当にそうでしょうか?人間の脳はコンピュータと違い、瞬時に情報を記憶したり一瞬で保存した情報を引き出したりすることができないので、パソコンが効率的に動く方法をマネしても効果があるとは限りません。
まず一度、本当に複数のことを同時に行って効率が上がったことがあるかを考えてみましょう。

例えば、

  • 数を数えている途中で話しかけられて、どこまで数えているか忘れた
  • 他の作業が気になって手を付け始めたら、本来大事な仕事をするのを忘れてしまった。
  • ひとつのことに集中できていないため、結局やり直し作業ばかり。
  • パソコンやスマホを見ながら人と話をしていて、大事な話を聞き逃し相手を不機嫌にした

ということは誰にでも経験があると思います。これらのことからも、普通に考えて同時に複数のことをこなそうとするのは得策とは思えません。

さらに言うと、「同時に複数の作業を行う」と言いますが、そもそも人間の脳は一度に2つ以上のことに集中することはできないのです。マルチタスクを行っているという人も、実際に行っているのは作業の対象を次々に切り替えるタスクスイッチングの繰り返しなのです。
そして、タスクスイッチを行うと、

  • 注意が分散する
    → 情報の記号化が難しくなる
    → 記憶力DOWN
  • 脳の前頭前野(意志力の源)を複数の作業で取り合う
    → 認知能力が低下、深い学習を阻害

といったことが起きます。タスクスイッチするたびに人間は集中力が落ちるのです。ちなみに、ハーバード大学の研究によると、忙しく働いている社員は1日に500回も注意を向けるタスクを変えるらしいです。その中で能率の高い社員には、注意を向けるタスクを変える回数が少ない、という特徴があり、タスクスイッチの頻度と生産性の低さは相関性があるということが示唆されています。

まとめると、マルチタスク=あれにもこれにも注意を向ける、究極に気が散っている状況。
このような状態では、生活の質、対人関係、その他大切なことが犠牲になってしまいます。
山積みの仕事を処理するためにマルチタスクになる、と言っていましたが、全く逆効果になってしまうわけです。

これらの理由から、日々の仕事や家事をこなしたいのならばシングルタスクを実践することをおすすめします。
ただ、そうはいっても身の回りには誘惑がたくさん。スマホの通知だったり、人に話しかけられたり、関係のない考え事が思い浮かんだりと、なかなか1つのことだけに集中することは難しいものです。次章からは、どのようにすればシングルタスクを実践できるか、具体的な手法を紹介していきます。

障害物を除去するー自分の中編ー

いよいよ、シングルタスクを実践するための具体的な手法を解説します。自分の外部を変えるよりも頭の中を変える方が圧倒的に簡単なので、本記事ではまず自分の中にある注意散漫になる原因を遠ざけるコツを紹介します。ポイントは以下の2つです

ここがポイント!

  • 何をするかいちいち迷わない状況にする
    ← 迷うたびに集中力DOWN
  • 脳みそに沸いた不要な情報を除去する
    ← 一度に集中できるのはひとつだけ

①TODOリスト&PDCA

TODOリストというと「何だそんなものか」と思う人も多いと思いますが、超大事です。
やるべきことをあらかじめはっきりさせておくことで、注意がそれにくくなる、という効果があります。やるべきことが決まっておらず、あれをしようかこれをしようかと悩んでいる状態では一つのことに集中するのは到底不可能です。すべての基本になりますので、作業に取り掛かる前(会社員なら出社直後)に、やるべきことのリストアップと予定を立てましょう
TODOリスト作成の注意点としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 嫌なことは朝イチで行う
    やりたくないことを後回しにすると、ずっと憂鬱、という経験はないでしょうか。嫌なことを残しておくと、他の作業をやっている間もずっと気になってしまいます。つまり、今後待ち受ける憂鬱なことに脳が占領されて、注意散漫になってしまうということです。嫌なことはさっさと片付けて脳から追い出すことで、1つのことに集中できるようになります。
  2. 空白タイムを設定する
    平日のスケジュールを作る際は毎日2回、1回30分程度のアポや打ち合わせを入れない「空白タイム」を用意しましょう。ここで、後で説明する類似タスクや突発業務、思ったよりも時間がかかってしまった仕事に対処します。また、ずっと会議続きの人なんかだと、自分の仕事が全く進まないということになりがちです。こういうときに、あらかじめ空白タイムをスケジュールに組み込んでおき、長期的な仕事の達成に向けて集中して作業をすることができます。
    注意点としては、この空白タイムは現実に「空白タイム」というアポが入っているものと考えるようにしましょう。
  3. 休憩もこまめにとる
    やるべき仕事をリストアップして予定を立てると、ついつい詰め込みすぎてしまうことがありますが、集中力は使い切ってしまうとなかなか回復しません。集中力を使い切る前にこまめに休憩する、ということで集中を長持ちさせることができます。具体的には30分集中して作業したら5分休憩など、自分に合った休憩の取り方を探してみましょう。詳しく知りたい方は集中力関係の本を読むか、ポモドーロテクニックでググると参考になると思います。

そして、TODOリストは作成・実行のみでなく、立てた小さな目標がきちんと達成できたかを毎日記録しましょう。つまり、TODOリストもPDCAサイクルを回す、ということです。週4日くらい達成できれば合格ラインらしいです。
これを繰り返すことで、忙しかったけど何も進まなかったという日が少なくなります
ちなみに私は、バーチカル手帳の下側にその日のTODOリストを書き出してから各作業どれくらい時間が必要か30分1コマとして見積もってから時間軸にいつ何をするか入れています。そして、完了したら大きく赤でチェックマークを付け、一日の終わりに1行程度で振り返りをするように心がけています。
(いつもできているとは言っていない…。やっぱりこれをちゃんとやらなかった日は、なんとなく時間が過ぎているという実感があります。)

②パーキングロット法

「パーキングロット」とは、「駐車場」のことです。元々は会議の効率化テクニックで、今重要でない話題に逸れそうになったとき、ホワイトボードにパーキング(あとで話すことをメモしておくスペース)を用意しておき、そこに記録して今は重要なテーマに集中する、という手法です。これを、自分一人の仕事にも応用します。

シングルタスクは今一番大事な1つのことに集中するので、仕事中に別のことが思い浮かぶ、例えば

  • 今日中に経理に書類を出さなきゃいけなかった
  • 行き詰っていた他の仕事のアイデアが浮かんだ

ということがあっても、すぐに手を付けてはいけません。それでは、あれにもこれにも注意を向けることになってしまいます。かと言って、何もしないのではせっかく思い浮かんだことを忘れてしまったり、ずっと気になってしまって1つのことに集中できない、ということになります。

そういった場合に、後からできるようにメモを取っておき、いったん脳みそから追い出してあげましょう。パーキングロット法は「今、目の前の作業に集中できるよう脳みその環境を整える作業」と言えます。
そのために、すぐにメモを取れるよう作業前に自分のパーキングを確保しておく必要があります。パーキングの場所はノートだったり、メモ帳だったり、スマホの音声メモだったり、人それぞれ使いやすいところで良いと思います。ただし、スマホを使う場合は他の通知等に注意を奪われることがあるので、アナログなものな方が無難かと思います。

③類似タスク

タスクを似たものにグループ分けして、同じ時間帯にまとめて処理します。仕事の内容によりますが、例えば

  • メールをチェックして返信する
  • 書類を印刷して提出、取りに行く
  • 発注する部品の品番をまとめて注文する

などがグループ化できるものになると思います。これらの作業は、なるべく頭がはっきりしている時間帯に制限時間を決めてまとめて処理しましょう。時間内で終わらなかったとしてもその分は後に回して、ダラダラ続けないことが大事になります。

類似タスクで処理することで効率が上がるものは色々ありますが、特にメール!!メールだけは類似タスクとして処理することをおすすめします!

皆さんの中にも、仕事のパソコンではOutlookを常に起動していて新着メールが来ると右下に通知がピコピコ出る、という人がいると思います(うちの会社はほぼ全員そうです)。この通知が集中力を阻害する大敵になります。わざわざ気を散らす原因になるものを表示させないようOutlookは通常閉じておき、1日に3回程度時間を決めて処理するようにしましょう。

まとめ

シングルタスクを行うことにより、以下のような効果が得られます。

  • 「時間」を有効活用できる
    → 1日過ぎたけど何も進んでいない、がなくなる
  • 「生産性」を上げることができる
    → ひとつの作業にだけ集中、強いエネルギー×鋭い集中力
  • 「対人関係」を改善する
    → 八方美人ではなく、真に重要なことに集中し高い成果を上げる

繰り返しになりますが、日々の仕事をこなしたいのなら、「いまここ」に完全に集中するしかない

少しでも興味を持った方は、原書もぜひ読んでみてください。

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